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(第一期)「ほしのいえ」設立の趣意書

 日雇労働者の町、山谷には重労働ができなくなった労働者がたくさんいます。私たちはこれまで山谷の中でいろいろな活動に協力しながら労働者の方達に関わってきました。
 それを通して、現代の競争社会、消費社会など社会構造の歪のなかで人間でさえ消費物のように使い捨てられ、明日の保証もなく人間としての尊厳を失って生きざるを得ない労働者たちの現状を眼の当りに見てきました。特に、病気で体を壊したり、労働災害などで障害者となった人、アルコール依存症、高齢化などで日雇労働が出来なくなった方たちが自立して生きることはさらに難しい現状に追い込まれています。

例えば、重労働で体を壊し、病院に入院していたKさんの場合。    
 福祉の生活保護で入院出来る病院は、待遇が悪く治療面でも効果が上がらない。その上「国のお金で見てもらっているくせに・・・」とあからさまに言われ、ちょっとしたことで理由を付けられ病気が直っていないのに強制退院。福祉事務所に掛けあい他の病院に再入院。3か月後医師の判断で軽快退院となる。
 しかし、本人としてはまだ頭がふらふらして具合いが悪いという訴え。その場合、医師の診断書のほうが信用される。治癒したということで生活保護も出ず福祉のケースワーカーに「もう直ったのだから働くように」といわれ、簡単な仕事を探すが見つからない。本人の履歴などで仕事を探せと度々叱られる。もちろん福祉のほうで仕事を探してくれる訳でもない。本人は焦るが、体調も良くない。私達も一緒に探してやっと掃除の仕事がみつかり、始めていたがとても疲れて辛そう。その後2週間もたたないうちに公園で倒れ、救急車で運ばれ再入院。検査の結果、脳梗塞とのこと。脳の写真を見ると、今回の前にもいくつかの跡があった。本人が訴えていたのは、これだったに違いない。それを無理に働けといわれてずいぶん辛い思いをしたと思うと胸が痛む。
 Kさんはそのまま意識が戻らず、一週間で帰らぬ人となってしまった。

 もしも、Kさんの場合、退院後すぐに無理をして働くのではなく、身体を休めながら簡単な手作業などをして、自立できるまでの関わりがあったらこんなに早く死を迎えることもなかっただろうと悔やまずにはいられません。入院している間、私達に心を開いて過去を語りながら回心し、退院したらアパートを借りて自立し、娘に会いたいと夢を語っていたKさんの心を思うと二度とこのようなケースがあってはならないと思うのです。
 そのほかにも、沢山のこのようなケースがあり、そのたびに、「デイケアルーム」の必要性を感じてきました。一人では背負い切れないほどの重荷を仲間とともに担いあい共に自立を目指して生きていけるような共同体作りをめざしたいと願っています。
 私達がキリスト者として山谷の労働者に関わるとき、聖書の中の様々な場面が思い起されます。放蕩息子のたとえ、99匹と一匹の羊のたとえ、罪人と貧しい人と一緒に食事をなさったキリスト、貧しいやもめの話・・・この現場では福音がそのまま実践されていて、私達が労働者から福音のメッセージを受けとることが度々です。「貧しい人は幸い・・・」といわれたキリストの言葉の意味を体験的に分からせてくれる場でもあります。
 このようなキリストの霊に動かされ、より豊かな福音的な神の国を築くための実践の場として「ほしのいえ」という別記のような日雇労働者が自立するためのデイケアルームを作る計画をしています。この趣旨にご賛同くださり、御協力頂ければ幸いです。
 まったく何もないところから創造された神の御業のように、何もないところから出発している私達ですが、神の霊の導くままに信頼して始めようとしています。
 どうぞ皆様の御協力をよろしくお願いいたします。
                                                                           1991年7月11日


(第二期)「ほしのいえ」設立の趣意書

 さまざまな出来事の中に、神の恵みを感じるこの頃、皆様、いかがお過ごしでしょうか?

 1991年7月 山谷において運営しおりましたディケアルーム「ほしのいえ」は事情により一時閉鎖を余儀なくされていましたが、この度、再開する運びとなりました。

 山谷をとりまく状況もこの間、大きく変わってきました。
 バブル経済の崩壊後、日雇い労働者の町「山谷」は真っ先にその影響を受け、厳しい状況にさらされています。日雇い労働を景気の安全弁とする社会構造の中で、労働者は仕事を奪われその結果、野宿労働者が増えています。病気、高齢など弱い立場におかれた人はさらに過酷な状況に追いやられています。

 私たちは、これまで日雇い労働ができなくなった、病気や高齢の方と共に、はがき作りなどの軽作業をしたり、福祉につき添ったり、病気のお見舞いをしたりなど、さまざまな関わりを持ってきました。

 今、私たちは「ほしのいえ」を再開するにあたって、新たな希望を胸に抱いています。

 「ほしのいえ」は労働者と私たちとの平らな関係を目指し、お互いの「真の自己」を回復し自立していきたいと願っています。また、弱い立場におかれた人々の生活や人権を守るための連帯なども大切にしていきたいと思います。

 しかし、私たちの関わり方によっては、逆に自立や主体性を妨げる場合もあることを体験しました。山谷での関わりは、常に私たち自身の生き方・考え方、そして、私たちが生きているこの社会の在り方そのものが問われてくるものです。

 このような課題をふまえつつ、皆で力を合わせて、歩みを続けたいと思っています。

 具体的には、運営委員会という共同体で話し合いながら、これからの活動を決定していくことになります。後述のように、すでに準備・実行している活動もあります。私たちと共働してくださる方々、また、さまざまな理由で共働できないけれども、心を合わせてくださる方々と共に、お互いのコミュニケーションを密にしながら「ほしのいえ」を創っていくことができたらと願っています。
皆様のご支援とお祈りをお願いいたします。

1994年6月15日
                                                                         ほしのいえ 運営委員会 一同

〒116−0003 
東京都荒川区南千住1−39−3 
ほしのいえ
電話・ファックス 03−3805−6237(火、木、土)